環境衛生施設維持管理業協会(環維協)では、運転維持管理において「現場総合力」の向上を担うエキスパートの技術者を認定する環境施設総括管理士(略称:総括管理士)制度を設けております。
環境衛生施設では施設性能を最大限発揮させる安定的で、安全な運転方法を確立し、お客様に安心と信頼を持ってもらうことが大切となります。 そのために、一般廃棄物処理施設の計画および設計に関して、相当の知識と経験を有し、一般廃棄物処理施設の運営や運転、保守・保全、安全衛生、労務等の維持管理について高度な専門技術知識と経験および指導力を体得している者を教育者として、事業所の運転維持管理者の指導・教育に当たることを狙いとした制度です。
総括管理士として、自身の専門技術知識、経験のみでなく、環維協内の技術部会、安全衛生部会での運転維持管理、安全衛生教育等に係る情報の共有と調査研究活動の成果を活用し、一般廃棄物処理施設の適正な運営と維持管理について、事業所の運転維持管理者に指導・助言・教育を行います。
○環境施設総括管理士の資格審査と認定
受験資格は環維協会員会社の在籍者で
(1)廃棄物処理技術に関する業務に10年以上従事していること
(2)技術士または(一財)日本環境衛生センターの廃棄物処理施設技術管理士の資格を
保有していること
総括管理士資格審査委員会において、高度な専門技術知識と経験および指導力を求められる総括管理士としてふさわしいか否か、資格審査、認定研修会、論文審査、口述審査を行い、理事会で承認を得て「環境施設総括管理士」と認定される。
また、技術革新、法制度の改正などに対応するために、3年ごとに更新審査を実施する。
○環境施設総括管理士の活動と役割
1)自社内における総括管理士の活動と役割
総括管理士として下記の役割を積極的に果たし、自社の一般廃棄物処理施設事業所の安全・安定操業と適正な運営・維持管理能力向上を図ることである。
(1)環維協の活動から得られる運転維持管理、安全衛生管理等の情報を社内(事業所)に
伝達し、自社の現場総合力の向上を図る
(2)事業所運転員の教育計画の作成指導と教育の実施支援、資格取得指導を行う
(3)事業所管理者のマネジメント能力とコスト意識が向上するよう指導教育を行う
(4)運転マニュアルや保守点検整備計画に関しても、調査、立案、実施を行うとともに
事業所を指導、支援する
(5)運転維持管理計画の作成、指導、教育を行う
(6)新しい技術、知識に対し常に関心を持ち、技術者としての研鑽に努め、新技術を
導入した施設ができた場合の運営や運転維持管理が問題なく行えるように備える
(7)運営、運転維持管理、安全衛生管理に関する情報を、社内へ発信する
(8)事業所の改善提案に係る助言指導を行う
(9)客先、プラントメーカ、設備機器メーカと情報チャンネルを持ち、設備トラブルや
操業トラブル発生時に適切な対応を行うとともに、対応できる人材を育成する
(10)一般廃棄物処理施設の計画・設計に関する相当の知識と経験にもとづき長期包括
契約事業の長期運営計画を作成し、運営の指導を行うとともに、長期包括契約事業
の運営に必要な人材を育成する
2)環維協内における総括管理士の活動と役割
総括管理士として下記の役割を積極的に果たし、自身の技術力と指導力の維持と向上を図るとともに、会員各社の現場総合力の向上に努めることである。
(1)環維協内の総括管理士会に所属するとともに、技術部会、安全衛生部会のいずれかに
所属し、所属部会の活動に積極的に参加し、情報交換を円滑に行い、環維協の代表
技術者としての認識を培い、意識の高揚と技術者としての研鑽に努める
(2)環維協の技術面の代表者として適正な判断をもって言動し、活動して、会員各社に
対する客先の信頼を一層強くするように努める
(3)所属会社の運転・維持管理、安全衛生管理等に関する知見(ただし、開示できない
ノウハウは除く)を開示、共有化し、所属部会内で議論を行い、自社の現場総合力の
レベルアップを図ることで会員会社全体の現場総合力アップに努める
(4)会員会社で発生した労働災害についての情報を収集・分析し、所属部会内で議論を行い、
共有化することで、会員各社の労働災害発生防止に努める
(5)環維協における施設見学調査、新技術の調査に参加し情報の収集と発信に努める
(6)一般財団法人日本環境衛生センターや一般社団法人日本環境衛生施設工業会などの
外部団体との意見交換や技術交流会に参加し、相互の理解を深めるとともに情報の
収集と発信に努める
(7)維持管理等に係る技術図書の編纂・出版活動に協力する
(8)環維協が主催する事業所管理者研修会の実施に協力する
3)社会における総括管理士の活動と役割
総括管理士として一般廃棄物処理施設の維持管理に関する高度な知識と経験に基づき、下記の役割を積極的に果たし、環境衛生事業の推進・発展に寄与することである。
(1)一般廃棄物の処理に関して発生する種々の問題について、関係官庁や関連団体に
対して環維協として協力する場合、中核となって活動する
(2)所属会社の利害のみにとらわれることなく、環維協および廃棄物処理施設の維持
管理業全体の技術レベルの向上に努める。一般財団法人日本環境衛生センター
「廃棄物処理施設技術管理者」講習会の講師、自治体主催の研修会の講師など
を務める
(3)災害廃棄物の処理対応等について、調査、情報共有などの活動に積極的に参画する
(4)運営、運転維持管理、安全衛生管理に関する環維協活動の成果を対外的に発表し、
環維協の知名度を上げるとともに、維持管理業全体の技術レベル向上に努める
(5)一般社団法人廃棄物資源循環学会、公益社団法人全国都市清掃会議、公益財団
法人廃棄物・3R研究財団、一般社団法人機械学会等の研究成果発表等などに
参加して、環境整備事業や廃棄物処理施設に関する最新技術情報を取得し、運営、
運転、維持管理に反映することによって廃棄物処理事業の発展に寄与する
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