協会からのお知らせ

What's new?

令和6年度(第37回)事業所管理者研修会開催される 2024年12月10日




「第37回事業所管理者研修会」がアジュール竹芝で令和6年11月7日(木)、8日(金)の2日間にわたって、受講者91名(ごみグループ76名、水グループ15名)での開催となった。

【1日目】
 はじめに近藤協会会長が開講挨拶を行った。近藤会長は、「環維協の事業目的は『会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営、作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること』であり、この事業所管理者研修会は会社の垣根を越えて各所属会社における指導者として、その能力のさらなる向上を目指して実施しており、各講義における貴重な情報を十分にご理解いただきたい。

また、当協会を取り巻く事業環境や社会要求は時々刻々と変化しており、時代、社会環境に即した「現場総合力」の更なる向上に寄与する情報をこの研修会で得て、各事業所における指導者としての能力を十二分に発揮し、広く地域社会に貢献して頂くことを切望する」と激励された。

続いて稲田事務局長より環維協の組織と活動概要説明があり、1日目の全体研修が始まった。

   
<第37回事業所管理者研修会 開講>  <近藤会長 開講挨拶>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_1.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_2.jpg

<全体研修>
 jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_3.jpg


特別講演 最新の廃棄物処理動向(1)
「自治体のごみ処理の現況と今後(広域化をめぐって)」
元(公社)全国都市清掃会議 技術顧問 荒井 喜久雄氏
 「持続可能な処理体制の確保」「資源循環の確保」「脱炭素化」を達成するため、「広域化」が求められているという話から始まり、「市町村のごみ処理の現況」、「廃棄物処理の広域化向けた国の取組」、「広域化へ与える影響を与える要素」等をご説明され、最後に施設整備・運営の3本柱「安定性」「安全性」「効率性」に「持続可能な処理体制の確保」「資源循環の確保」「脱炭素化」の視点を付加していくことが必要であると締めくくられた。

特別講演 最新の廃棄物処理動向(2)
「プラスチック資源循環と脱炭素について」
(一財)日本環境衛生センター 環境工学第一部 次長 寺内 清修氏
 プラスチック資源循環の背景として、プラスチックの問題点や気候変動問題があり、包括的に資源循環体制を強化するための廃棄物・資源循環分野の法律・計画等についてご説明された。次に、温室効果ガス排出削減技術の概要として、プラスチック類の分別収集・資源化、高温高圧ボイラによる高効率発電、CCS/CCUS技術等、およびこれらの施策による廃棄物処理施設への影響並びに課題ついて述べられ、今後は焼却施設の集約化(広域化)を進めることが課題となる、と講演を終えられた。
  
<荒井 喜久雄氏>             <寺内 清修氏>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_4.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_5.jpg


 続いて、青木広報部会長より「広報部会のご案内」として、広報部会の活動内容、協会誌「環境施設マネジメント」の内容についての紹介があり、昼食休憩となった。

 午後からは、ごみグループと水グループに分かれ専門技術講座、事業所紹介、ごみ処理・水処理Q&Aおよびグループディスカッションが行われ、1日目を終了した。

(ごみグループ)
専門技術講座(1):「ごみ処理施設の事故(リチウムイオン電池由来の発火・火災事故)」
(一財)日本環境衛生センター 環境工学第一部部長 理事 藤原 周史氏
近年、多発するリチウムイオン電池の発火・火災状況について、東京消防庁資料等によるご報告から、環境省からのリチウムイオン電池の適正処理についてご説明された。その後、市町村のトラブル事例とその対応状況と新規施設(不燃・粗大ごみ処理施設)における安全対策等についてご説明された。

・事業所紹介:「(株)川崎技研 山鹿事業所」
(株)川崎技研 所長 平川 茂幸氏
 山鹿市の紹介から始まり、山鹿市環境センターの施設概要・設備概要・業務委託内容・AIごみクレーン等についてご説明された。

(水グループ)
専門技術講座(1):「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理〜社会情勢の変化への対応〜」
(一財)日本環境衛生センター 環境工学第二部 環境施設計画課 課長 小林 剛氏
 運転管理に影響する要因として、社会的要因、物理的要因、経済的要因、その他要因があり、社会的要因としては、搬入条件の変化(質的・量的変動)、法改正等があり、その他各種要因について、具体的にご説明いただいた。

・事業所紹介:(株)日本管財環境サービス 浜松事業所」
(株)日本管財環境サービス  事業所長 三嶋 宏之氏
 浜松市の紹介から始まり、東部衛生工場の概要説明と施設の特徴の紹介があり事業所での安全衛生活動等についてご説明された。

・ごみ処理Q&A・水処理Q&A
研修会受講者より出された質問に対しての回答説明が行われた。
・グループディスカッション
 地域毎に12の班を編成して、自己紹介に続き1部は「大規模災害」、2部は「事業所の課題など」をテーマに自由に討議を行った。
   
<藤原 周史氏>              <小林 剛氏>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_6.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_7.jpg
   
<グループディスカッション>      <グループディスカッション>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_8.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_9.jpg


【2日目】
 2日目は全体研修に始まり、安全衛生部会 関連部署グループの吉田幸弘氏が「環維協における熱中症の災害統計及び事例」と題し、2023年8月に実施したアンケート調査報告の報告をした。
 
専門技術講座(2):「熱中症のトピックスと対策について」
大塚製薬(株)  首都圏第一支店 課長 堀場 和夫氏
 日本体育協会(現日本スポーツ協会)が熱中症の事故対策に関する研究班を設置され、大塚製薬も1992年よりこの活動に参加し、熱中症に関する啓発活動を実施してきた。今回もその活動の一環として、熱中症のトピックスや職場における熱中症対策について講演された。

専門技術講座(3):「熱中症対策〜ファン付きユニフォームのご紹介」
ミドリ安全(株) 高井 正博氏・十時 紳一郎氏
 実演を含めてファン付きユニフォームの紹介がなされた。また、注意事項として、ファン付きユニフォームを長期保管する場合は、リチウムイオン電池の性能を維持するため、フル充電状態で保管するようにとの注意があった。
  
<堀場 和夫氏>              <高井 正博氏・十時紳一郎氏>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_10.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_11.jpg


午前の最後として石川技術部会長より環維協技術部会の活動紹介とその成果物の報告があり、午後から、労務・安全衛生管理についてのプログラムを催し、基調講演とパネル討論が行われた。

基調講演(1):「熱中症対策を通して考える職場の人事・労務管理」
(株)OHコンシェルジュ 代表取締役(産業医) 東川 麻子氏
 熱中症対策のご説明の後、様々な部下の申し出に対する対応、また、申し出てこない部下への対応など事例を交えて講演された。

基調講演(2):「労働災害を防ぐために〜元労働基準監督官の経験と想いから〜」
神鋼環境メンテナンス(株) 顧問(社会保険労務士) 茶園 幸子氏
 労働基準監督官の仕事についてのご説明から、災害事例を基に労働基準監督官からみた安全対策として、「人の特性を踏まえた安全管理」を実施していくよう講演された。
基調講演に続いて「事業所の労務様管理・安全管理」及びサブテーマとして「健康上の配慮が必要な従業員への対応」「労働災害発生時の対応について」を題材に、ゲストおよびパネラーに加え受講者の質問も交えて、モデレーターの進行によってパネルディスカッションが行われた。
  
<東川 麻子氏>            <茶園 幸子氏>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_12.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_13.jpg

<パネルディスカッション>     
 jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_14.jpg


最後に石川技術部会長の閉会の挨拶および修了証の授与があった。
 石川部会長は「事業所管理者研修会は技術部会の全力を挙げて安全衛生部会の協力を得て開催している。皆さんがこれを活かしていただいて後進の指導とか、お客様の対応とかに役立てていただければうれしく思っています」と閉会の辞を述べた。続いて修了証を代表者に授与して、閉会とした。
 
<石川技術部会長 閉会挨拶>      <修了証授与>
jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_15.jpg jigyousyo_kanrisya kensyukai_2024_16.jpg

研修会の詳細については、「環境施設マネジメントNo79」(2025年3月発刊予定)に掲載しますので、一読ください。