環維協技術部会では先進技術あるいは特徴的な技術を取り入れた廃棄物処理施設の見学研修会を実施しており、「令和5年度技術部会施設見学研修会」を下記のとおり開催しました。
1. 開催日:令和5年6月1日(木)
2. 見学施設
1) 水処理施設
住所:〒001-0045 札幌市北区麻生町8丁目
札幌市下水道科学館・創成川水再生プラザ(下水処理施設)
2) ごみ処理施設
住所:〒005-0861 札幌市南区真駒岡602番地
札幌市駒岡清掃工場
3. 参加者数 1)水処理施設28名 2) ごみ処理施設32名
4. 施設および研修概要
1)札幌市下水道科学館・創成川水再生プラザ(下水処理施設)
創成川水再生プラザ処理能力:合流式144,000m3/日
【研修概要】
札幌市下水道科学館は、下水道の仕組みや下水道が水環境の保全に果たす役割など下水道の知識を楽しみながら理解していただくため、政令指定都市では名古屋市、大阪市に次ぐ常設の下水道広報施設として1997年に開館しました。
2018年に開館20年を機に展示物をリニューアルし、普段見えにくい下水道事業を身近に感じていただけるように、下水道に関する仕事が疑似的に体験できる展示物が沢山あり、1階のワードビューシアターを含め大変興味深いものでした。
科学館内の見学後に隣接する創成川水再生プラザを札幌市資源循環公社の西岡館長から野球場やテニスコートの地下に設置される下水処理施設を流入から放流までの順で説明していただきました。
コロナ渦においては安全安心のため放流水を次亜塩素酸により消毒を行っていたとのことでしたが、処理水質が安定している時は環境負荷の低減のため消毒せずに放流するとの興味深いお話を伺いました。
2) 札幌市駒岡清掃工場
処理方式:全連続燃焼式ストーカ炉 発電4,960kW
処理能力:ごみ焼却施設300t/日×2炉、粗大ごみ処理施設200t/日
【研修概要】
駒岡清掃工場は、1985年竣工の38年稼働継続中の施設で2025年に建設中の新施設へ引き継ぎが計画されており、ごみ焼却施設と粗大ごみ処理施設を併設していました。ごみ焼却施設は蒸気タービン発電機と蒸気復水器が完全2系列で構成されていました。
ごみ焼却施設の運転管理は、計量・受入・プラットホーム・灰出し業務は直営で、ごみクレーン以降の運転管理をタクマテクノス北海道様が管理する体制でありました。
施設到着後、会議室でタクマテクノス北海道駒岡事業所の岩佐所長と塩田部長より設備の概略説明や寒冷地特有の苦労話なども伺い、質疑応答後中央制御室や見学者通路よりタービンや建設中の新施設などを見学しました。
5. おわりに
今回見学した2施設は豪雪・凍結・低温下対策のため、創成川水再生プラザセンターは沈砂槽・曝気槽・沈殿槽等の主要装置は地下に設置され、駒岡清掃工場では蒸気復水器は屋内に配置し入口シャッターと循環シャッターにて冷却空気温度をコントロールしているなどの説明を受け、他にも要所に工夫が施されていると感じました。
また西岡館長から、昨年は創成川水再生プラザの放流先の創生川では鮭の遡上も確認されとのことお話も伺い、仕事する喜びが伝わってきました。
施設見学時は、新型コロナウイルスの分類が2類から5類と引き下がりましたが、大勢の見学者受け入れを承諾していただきました時期を思い返しますと、見学を承諾して頂きました関係各位にこの場をお借りしまして感謝申し上げます。
今回の施設見学研修会では、2施設で直接見聞きし、大変有意義な施設見学研修会となりました。
本報告は協会誌「環境施設マネジメント」76号に掲載の予定です。